AトーナメントとBトーナメントに分けて開催された「部族の争い」の優勝者にはそれぞれ「アンカットシート」でのフォイルのモーニグタイドのカードが贈られた!


昨今のスポーツ業界ではハンカチ王子やハニカミ王子などの「○○王子」なる呼称が流行っている。
 爽やかで世間ずれしていないニューカマーのキャラ付けをするに当たって、この○○王子は実に使いやすいものだ。
 マジック業界においてもシミックの王子という存在が確認されている。

 今回のGP静岡にて新しい王子が誕生したことを私は記さなければならない。
これは義務感であり出来心である。

 妖精王国埼玉が誇る「遅延王子」のことを。

 GP二日目も終盤に差し掛かり、夜も更けてきた頃。会場では3イベントのシングルエルミネーションが行われていた。

 一つはもちろん本戦。
 数十人のギャラリーとスタッフが見守る中、メインイベントはクライマックスへと加速していく。

 二つめはPTQ。
 ギャラリーの数は少なめであるがトップ8のほとんどが大勢の身内を引き連れているのでそれなりのにぎわいである。

 三つめは、トライバルウォーである。
 その様子は閑散。我々アウトローの立ち位置はここのギャラリーである。

 ここでトライバルウォー(以下、部族の争い)について説明しなければなるまい。
 通常GPのサイドイベントで行われているスタンダードは、ご当地スタンと呼ばれ入賞者にはご当地の名産品-仙台なら牛タンなど-が送られている。
 しかし今回のGPでは一種類の部族を20枚以上投入したスタンダードデッキで大会を行う、部族の争いトーナメントが開催された。

 実はこの大会の賞品、ともすれば本戦の賞金を金額的に上回るらしい。
 意外にも豪気なものである。

 その賞品とは、モーニングタイどレアFoil未裁断シートである。
 ご存知の通り、TCGの生産工程は紙の張り合わせ、印刷を行い、最後に裁断である。(ボックスなどを剥くとわかりレアソートはこのシートの種類に準ずるらしい・・・筆者の不勉強のせいで確証にはいたっていない)
 この最終工程の裁断を行わずにシートのまま授与されるのだ。
 もちろん今回の優勝者2人に渡される二枚しかこの世に存在していない。
 生産のローラーを一旦停止させるということの損失を考えれば当然かもしれないが。

 バイヤーや関係者の話では『軽自動車一台分』程度の金銭的価値があるという。場合によっては100万程度か、メインイベントが霞む錯覚に襲われた。

 この時点で私はPTQで微量ながら賞品を貰い、ふっどはGPで賞金を貰い軽くホクホクで帰り仕度を始めようとしていた。
 だが1人の空気を読まない男のせいで帰宅は三時間以上遅れてしまったのだ。
 男のイニシャルはTT、通称ますくまそ。奴はこともあろうに部族の争いトーナメントBにおいて、上位8人に残ってしまったのだ。
 しかし、ここで我々には朗報が一つ。デッキ登録ミスでシングル一戦目をゲームロスで挑むことになった、これは早く帰れそうだ。

 しかし我々の思惑とは裏腹に、奴は最善の引きに恵まれた。
 「一ターン目ヴィジョン待機二ターン目苦花なら誰でも勝つわwwwゲームロスなにそれ?www」と言い残して1戦目を圧勝。
 この2ゲーム行った時点で1時間以上経過。PTQは優勝者が決定した。本戦はコガモが現れずに迷走していた。

 シングル2戦目の相手はキスキン。しかもハリケーンメイン搭載である、これは早期帰宅の期待ができそうだ。
 我々はほっと一息をついた。
 さくさくと負けて帰れそうだ。期待とは言い難いが、少なくとも安堵はあった。

とうのますくまそは神妙な面持ちで。
 「ここからが本当の地獄だ」と言い残して卓についた。

 奴のいうとおり、地獄だった。
 ここにきてまさかの遅延王子の本領発揮。ありとあらゆる局面においての長考開始である。
 大抵の局面において手札には2択しか選択肢が無いはずなのに、長考長考長考。おそらく我々には見えない三択目が存在しているのであろう。
 《苦花/Bitterblossom(MOR)》と《ウーナの末裔/Scion of Oona(LRW)》でダメージレースが有利であろうとおかまいなしの長考。
 1ゲームが終了するころには30分を経過していた。無論、部族の争いトーナメント他の2回戦目は軒並み終了していた。

 ふっど「この大会はサイドボード無いから助かるね」と嘯いてみたものの、ふっどは明らかに辟易している。

 2ゲーム目も遅延と長考の雨霰が降り注いだ。相手も呼応するように長考を開始、時間設定が明確でないシングルエルミネーションにおいてこの行為の恐ろしさは語り尽くせない。

 さすがのジャッジも怒り心頭で、進行を早めるために軽く注意を行う。
 だが、腐っても、いや腐っているからこその遅延王子であるますくまそに注意など出来る人間はいない。
 やむを得ずジャッジは「プレイを早くして下さい、これ以上遅いようだと警告の対象になります」という言葉ををますくまその対戦相手に浴びせた。
 

 その場に居合わせた全員が唖然である。
 この時点で本戦は最強のルイージVSあんちゃんの決勝戦が開始された。
 こちらの地獄はまだまだ続く。
 



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コメント

まはも茶
まはも茶
2008年3月15日1:56

早く後編書けよ!!!

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